本日の心理学・名言1459-5

火の心理的効果

 人類がここまでの文明を発展させたのは、火を扱えるようになったからだとも言われています。
火を使うことにより、
暗闇での明かり、冬の間のぬくもりを手に入れ、獣から身を守ったり、煮る・焼くといった火を通す調理方法を身につけました。
現代では当たり前のように使用しているので、なかなかそのありがたみを感じることは出来ませんが、人々の生活にとってなくてはならないものであることには変わりありません。
さて、私事ですが、私は火を見るのが好きです。
と言うと、ちょっと怪しい感じもしますが、ローソクのように小さい火から焚き火やキャンプファイヤーのような大きい火(炎)まで好きです。
特に、キャンプファイヤーというのは非日常感もあいまって興奮する反面、じっと火を見つめていると心が穏やかになり、何とも言えない気分になります。
小学生の頃に合宿や林間学校などでそういった機会が何度かあり、火には不思議な力があるなぁと漠然と思っていました。
さらに、テレビか何かで、とある国のサッカーチームでは試合前にロッカールームの電気を消し、1本のロウソクに火をつけ、それを囲んでミーティングを行うことにより、集中力と一体感を高めるというようなことをやっていました
。心理学を勉強している中で、それをふと思い出したので、そういった研究がないものかと思い、少し探してみました。

■大阪ガス(株)エネルギー技術研究所が
「暖炉の火」の効用を始めて検証
実験の概要としては、初対面の二人が暖炉あり条件・なし条件で会話した場合に、暖炉がどのような影響をもたらすかというものです。
その結果、暖炉の火がコミュニケーションの促進効果があることが確認されたとのことです。
具体的には、暖炉の火により、リラックスできる、癒される、会話の相手が自分に似ていると感じる、2人の距離が縮まる、会話中に暖炉を見る回数が多いなどといった効果があったとのことです。
論文を読んでいないので火の持つリラックス効果に対してどのような考察がなされているか分かりませんが、どうやらやはり火を見ることによって人は心が落ち着くようです。
そして、その場にいる人との一体感を強めるという効果もありそうです。上記実験から得られた結果の中で、一番興味を引いたのは「会話中に暖炉を見る回数が多い」という点です。
暖炉という視線を外せるものがあると無理なくコミュニケーションを取ることができます。
実験風景でも分かるとおり、暖炉があることでお互い真正面に向き合うのではなく、自然と視線がぶつからない形に座ることができるのかもしれません。
これはカウンセラーが正面に座らないことや、カウンセリングルームに視線を外しやすいように小物を配置しているのと同じですね。
小さい頃に感じていた私の感覚は間違いではなかったようです。
一つの研究しか見ていないので、どうしてそういった影響が火によって与えられるのかまでは分かりませんが、
火は生活を営む上だけでなく精神的にも人間に必要なものと言えるのではないでしょうか。
たまには電気を消して、火の持つ不思議な力を感じてみるものいいかも知れませんね(くれぐれも火の取り扱いにはご注意を!)。
今回、ネットで検索をして見つけた研究を取り上げましたが、
同じ火と言ってもローソク・暖炉・焚き火・キャンプファイヤーなどそれぞれによって火が与える影響は異なるかもしれませんね。
また、あえて複数の論文からの結論ではなく、私個人の興味を中心に書いてみました。
恐らく実証的な実験研究は少ないかもしれませんが、色々な視点から(心理学以外の分野においても)火の持つ効果を研究・考察している論文などがあると思います。
火は様々な儀式や祭事に欠かせないものと言えるため、
今回見たリラックス効果とは
反対の効果も持っているかもしれません。

暖炉はあまり日本になじみがないのですが、その代わりに囲炉裏があったので、日本人にはそちらの方が落ち着くかもしれません。
そういったことも含め、全てを取り上げることはできないので、このトピックスはあえて問題提起的にしてみました。
火の持つ心理的な効用い興味をもたれた方は、ご自身で調べてみてくださいね。

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