本日の心理学・名言1459-3

自己開示の返報性

人間関係には、家族や友人、知人、仕事上の関係、師弟関係など様々なものがあります。
その中で、家族以外の他人と関係を築くためには、
基本的には0からコミュニケーションを取っていかなくてはなりません。会ったその日に趣味の話で盛り上がって意気投合するといったこともありますが、一般的には関係を構築していくためにはある程度の時間がかかります。
通常、初対面のときには仕事の話や共通の知人の話など差しさわりのない話をしながら、相手に関する情報を集め、何度か会う中で関係が深まっていくにつれて徐々にプライベートな話をするようになっていくことでしょう。
当たり前といっては当たり前のことですが、そこには”自己開示の返報性”というものが働いています。
自己開示とは、自分についての個人的な情報を率直にありのまま相手に伝えることを言います
(嘘偽りなくというところがポイントで、相手に特定の印象を持たせようという意図が含まれているものは”自己呈示”と呼ばれます)。
この自己開示には、自己開示をされた受け手も同程度の自己開示をするという、返報性のルールがあることが知られています。
つまり、こちらが趣味の話をしたら相手も趣味の話、より個人的な家庭の話をしたら相手も家庭の話をするといった具合で、同程度の深い話をするようになるということです。
「相手がそこまで話してくれたんだから、自分も話そう」という気持ちが生じるのですね。
そうやって、お互いに少しずつプライベートな話をしていくことで、関係が深まっていくのです。
まぁ、当然とも言えることなのですが、これを知っていることによって、関係を深化させたい相手に対して自分から少しずつ自己開示をしていくことによって、相手のことを知ることができ、関係も発展させていくことができるでしょう。
さて、ここで忘れてはならないことがあります。
それは、関係の進展に伴った自己開示が必要だと言うことです。
ほとんど初対面なのに、かなり個人的な自己開示をしてしまう人は、嫌われる傾向にあります。
会って間もないのに、プライベートな話などをしても、受け手は準備ができていないので「なんて非常識な人なんだろう」と思われてしまうのがオチです。
そのような場合には、当然”自己開示の返報性”は期待できるはずもありません。
相手との関係性に合った内容の自己開示、関係を”一歩”前進させるための自己開示でなければ意味がありません。
しかし、冒頭にも挙げたように、初対面で意気投合するような場合や、聴き上手な人であるため、数回しか会っていないのに何でも悩みを話し合える関係になることもあります。
また、逆にかなりの年月会っているが、プライベートな話ができる関係ではないということもあります。
そのあたりの相性といった部分も、人間関係の面白いところですね。
自己開示についてちょっとだけ補足をしておくと、
女性の方が男性よりも自己開示する傾向が認められています。
特に、この傾向は同性同士でより顕著になるそうです。
女性同士はお互いのプライベートな情報を共有することで友情を作り上げていくのに対し、
男性はお互いのプライベートには立ち入らず、活動を共有することで友情を作っていく傾向があると言われています。

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