本日の心理学・名言1459-2

原因帰属

日常生活の中で、他者が取った行動の理由を
考えることはよくあることだと思います。
特に、いつもと様子が違うときには、
何でそのような言動をとったのだろうかと不思議に思うことでしょう。
このように、人間の行動の原因を推測する心理的過程を「帰属(作用)」と言い、社会心理学領域を中心に多くの研究がなされています。
帰属には、その理由付けの方向性によって2種類あります。
1つは内的帰属と呼ばれるもので、その言動を取った本人の性格などといった内部にあるものに理由を求めます。
もう1つは外的帰属と呼ばれるもので、状況や運などその人の外部にあるものに理由を求めます。
この2種類の帰属のされ方には、状況によって大きな傾向があります。それは、帰属の誤り」と呼ばれており、必ずしも正しくないが多くの人が誤って帰属しやすいとして、状況によっていくつかのものが示されています。
まず最初は、「基本的な帰属の誤り」というものです。
これは、他者の言動の理由を推測する場合に、
それが明らかに外的な影響を受けての言動であるにも関わらず、行為者の性格や態度などの内的なものに帰属させやすいという
一般的傾向のことを言います。
あまりいい例えではありませんが、
例えば上司の命令に逆らえずに違法な行為を行ったといった
外的な要因が明らかな場合でも、
その行為者本人が元々そういう性格であったと
推測をしてしまうことです。
次に、「行為者-観察者バイアス」というものがあります。
これは、他人の言動はその人の内的な要因に
帰属させやすいのに対し、
自分の言動は外的な要因に帰属させやすい傾向のことを言います。
例えば、他人が花瓶にぶつかって落として割ってしまったのを見ると、その人の不注意ゆえのことだと考えるが、
自分が同じことをした場合には、
テーブルの端に花瓶があったためだと考えるようなことを言います。
また、成功や失敗に関するものとしては「セルフ・サービングバイアス」というものがあります。
これは、成功に関しては自分の能力などに帰属し、
失敗に関しては環境などに帰属する傾向を言います。
例を挙げるまでもありませんが、
テストの結果が良いときは努力の結果だと考え、
悪かった場合には問題が難しかったなどと考えることです。
他にも、偶然に左右される事象を自分の能力や意思で何とかできると考える「コントロール幻想」や、事故や災害の被害者に対して、その原因を過度に被害者の責任に帰属する「過度の責任帰属」とったものがあります。
前者はくじ引きは自分で選んだ方が当たると考えることで、
後者は痴漢の被害者に対して「そんな短いスカートをはいていたら被害にあってもしょうがない」などと考えてしまうことです。
いろいろな帰属の誤りを例を挙げて紹介しましたが、
きっと身に覚えのあるものもあったことと思います。
まぁ、他の人に迷惑をかけないような小さいものであれば
良くあることなのでいいとは思いますが、
誤った原因帰属がもとで人間関係が
崩れてしまうこともありえますので、
十分注意が必要ではないでしょうか。
高度情報化社会と呼ばれている現代ですが、
情報が断片化していることもありますし、
その信憑性も疑わしいこともよくありますので、
それらの情報から原因帰属をしてしまうと
場合によってはとても危険なことになってしまうかもしれませんね。

トップページへ戻る