本日の心理学・名言1460-5

現状維持バイアス2 ~スイッチング・コスト2~

本日の心理学・名言1460-4では、入り口のハードルを下げることで
現状維持バイアスを打ち破って新規顧客を得る戦略について
紹介しました。
しかし、他社がより魅力的な商品を出したりするとその顧客がそちらに流れていってしまうかもしれません。
そうならないように、一度得た顧客の流出を防ぐことも必要な戦略となってきます。
それはスイッチング・コストをうまく活用することによって
可能となります。
最近は各社競って値下げをした結果、非常に割安な料金プランに加入することができます。
しかし、多くの場合「2年契約」など一定期間の契約が条件となっています。そして、契約期間内での中途解約には解約料がかかるシステムとなっています。これがスイッチング・コストとなります。
「他社に乗り換えたいけど、解約料取られるのも惜しいなぁ」という
気持ちを生じさせることで乗り換えを防ぎ、
囲い込みをすることにつながります。
あるいは、物件の賃貸で考えてみましょう。
最近は敷金・礼金0というゼロゼロ物件や、フリーレン(%)ト1ヶ月などの入り口のハードルを下げているものをよく見かけます。
退去時に原状回復費などがかかることを事前に知っていても、
初期費用を安く済ますために飛びついてしまうと
スイッチング・コストが高くなり、
後々に近隣に安くていい物件が見つかっても
動きにくくなってしまいます。
こういうときに人は「新しい物件は今よりも安くて新しいけど、今の家具が合わないし、駅やコンビニからちょっと遠くなるし・・・」と
新しい物件のネガティブな側面を探し、
納得しようとする傾向もあります。
企業がどの程度こういったことを考えているか実際のところは分かりませんが、顧客を得て離さないために人間の心理をうまく突いているといえます。
%フリーレント1ヶ月というのは、2年住んだ場合24ヶ月のうちの1ヶ月分なので約4%程度の値引きとなります。それ以上住めば当然値引率は下がります。「家賃4%値下げ」というよりも「1ヶ月無料」のほうがなんとなく安そうに見える心理を上手く活用し、入り口のハードルを下げる効果を高めているといえます。

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