本日の心理学・名言1460-2

アンカリング効果

みなさんは日ごろ買い物をしている中で、
以下のような値段表示を見たことはないでしょうか。

\9,800 → \6,800』

こういう表示を見て、
「安い!」と感じたことは何度もあるのではないかと思います。
このように表示をすると、元々の値段を見せておくことができ現在の値段の安さが際立ちます。
\9,800というのが基準となって、それに比べると\6,800という値段が安く感じて購買意欲が喚起されます。
最初から\6,800である場合(あるいは完全に上書きして元値が見えない場合)と元値が見えるように消して\6,800の場合とでは、
心理的なお得感が異なり、ついつい買ってしまうわけですね。
スーパーなどで”希望小売価格”が表示されているのも、
この効果を狙っている部分があるのでしょう。
このように、最初に何らかの数字が出されることによってそれが判断基準(アンカー※)となって、その後の判断を左右することを
アンカリング効果”と言います。

絶対的評価ではなく、最初の数字を基準とした相対的評価になるということです。
(アンカリング効果は値段設定における数字に限定したものではありませんが、ここでは分かりやすい例として値段を取り上げています。)
このアンカリング効果は、商売・値段交渉においては古くから経験的に知られていたものです。
本来売りたい価格よりも高い価格を最初に提示しておき、そこから値段交渉に応じて下げていくことによって、
本来の価格で買ってもらいやすくするのです。
最初に”ふっかけておく”ことで、
交渉を有利に進めていくことができます。
高級ブランド品店では、店内の最も目立つところに最高級品を展示し、そのほかの商品を相対的に安く感じさせることもあるそうです。
確かに、100万円のバックの隣に30万円の似たようなバックがあれば手が届くように感じてしまいます。
アンカリング効果を利用した交渉術の例
最近の家電量販店では『\118,000 → 値段は店員まで』という
表示を多く見かけます。
値段交渉をすると、だいたい1万円引きの\108,000くらいが提示されるでしょう。
要するに、\118,000がアンカーであり、”ふっかけられている”のです。ただ、\108,000もまだまだ本来の価格ではないかもしれません。
さらに交渉すると、5千円引いて\103,000くらいにはしてもらえるかもしれません。
もっと粘ると「責任者に確認してきます」と
店員さんが一度引っ込みます。
帰ってくると、「ポイントなしで\○○なら・・・」とか「5年保障を10年に延長して\○○で」などと提示をしてきて、
”頑張ってる感”を出して客に折れてもらえるようアプローチをかけてきます。これが店員さん主導の交渉です。
一方、客が主導権を握るためにはどうしたら良いでしょうか。
必ずうまくいく方法ではありませんが、このアンカリング効果を考慮して逆アンカリングをする方法が考えられます。
店員さんに「いくらぐらいになりますか?」と訊いてしまうと上記のように店員さん主導になってしまいますので、
「\78,000くらいですか?」とすっとぼけてあり得ない数字を提示してみるのです。
そうすると、\118,000にアンカーがあったのが、\78,000にアンカーを移してその後の交渉を有利に勧めることができるかもしれませんよ。
(交渉はアンカリングだけでうまくいくものではありません。また、”あり得ない数字”はギリギリ現実感のない数字を提示することが大切です。)
アンカー(anchor)とは船の碇のことです。船は碇を下ろすとそこを”基準”として動く範囲が限定されます。

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