本日の心理学・名言1483-11

@漢字喜遊曲

母は
舟の一族だろうか。
こころもち傾いているのは
どんな荷物を
積みすぎているせいか。

幸いの中の人知れぬ辛さ
そして時に
辛さを忘れてもいる幸い。
何が満たされて幸いになり
何が足らなくて辛いのか。

舞という字は
無に似ている。
無の織りなすくさぐさの仮象
刻々 無のなかに流れ去り
しかし 幻を置いてゆく。

――かさねて
舞という字は
無に似ている。
舞の姿の多様な変幻
その内側に保たれる軽やかな無心
舞と同じ動きの。

器の中の
哭(こく=なげく、大声で泣く)。
割れる器の嘆声(たんせい~ため息)か
人という名の器のもろさを
哭く声か。

HP::お気に入りの詩より~吉野弘氏

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