元気回復行動プラン~WRAP

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WRAPはWellness Recovery Action Planの頭文字をとったもので、アメリカの精神的な困難(躁うつ病)を経験したメアリーエレン・コープランドさんを中心に色々な人の力で育てられてきている「自分が元気でいるために、自分自身が作るプラン」です。

日本語では「元気回復行動プラン」といいます。

調子の良い時の自分ってどんな人?
調子を崩すきっかけは?
その対処法ってどんなのがある?
自分自身で、自分にとって最善の行動がとれなくなったとき、その判断は、誰に委ねる?
自分が元気で過ごすための工夫を改めて考え、あらかじめリストにして、まとめておくことによって、あなたが人生をより豊かに生きる、手助けになるかもしれません。

WRAPは一人でもできますが、集団(クラス:10~15人)では、他の人の意見も聞けるので効果的です。
一人でやる場合には、あまり思い込まないなど自分のペースで1~6のプランを順番にやることをお勧めします。
WRAPは主に以下の2つ(1.リカバリーに大切なこと 、2元気に役立つ道具箱)をベースに6つの状況におけるプランについて、自分や同じような悩みを持つ人の体験やアイディアについて、語り合います(集団の場合)。

このWRAPの提唱者のメアリーエレン・コープランドさんによれば、リカバリーとは、“自分の心の状態を安定させるコントロールができること”だそうです。
それにより、次のようなことが可能になります。
*元気と安定と生活の質の向上を促進すること。
*費用がかがり、身体に負担をかける治療の必要性を減らすこと。
*精神面での深刻な困難に陥る回数を減らすこと。
*精神面での深刻な困難によって引き起こされるトラウマを軽減すること。
*参加者が希望を高く持ち、元気に向かって積極的に努力することを励ますこと(グループ)
*自分で責任を持つという感覚とエンパワーメント(力を得ている)感覚を強めること。

1.リカバリーに大切なこと  キーコンセプト~リカバリーの為の大切な考え方
希望―精神面での困難な経験をしている人も元気になり、元気であり続け、人生の夢やゴールに向かって進むことができます。
あなたの希望は何ですか?~~cf:一年に一度は一泊温泉旅行をするetc
自分で責任を持つこと-人からの助けを受けることはあっても、行動を起こし、元気でいるためにしなければならないことを実行するのは、あなた自身です。
あなたが自分の元気のために責任をもってやっていること、しなければならないことはなんですか?~~cf:朝、起きたらすぐにうがい、洗顔をするetc
学ぶこと-自分の経験していることについてできる限りのことを学ぶことで、人生のいろいろな事柄について良い判断ができるようになります。
あなたが自分の元気のために学びたいこと、学んでいることはなんですか?
cf:さりげない親切をすることetc
自分をアドボケート(権利擁護)すること-効果的な働きかけをすることによって、元気とリカバリーを支えるために必要なこと、望むこと、望んで当然のことを手に入れることができます。
cf:具合がわるい時には仕事を休んでもいい権利etc
サポート-自分が元気でいるために努力するのはあなた自身なのですが、人からサポートしてもらうことと人をサポートすることは、元気になり、生活の質を向上させることの助けになります。
*あなたのサポーターになってくれる、くれそうな人は?~cf:両親
*あなたは誰のサポーターになっていますか?cf:両親(金銭、実務、精神面etc)
(あなたとサポーターは一方的でない関係が好ましいと考えられます)
*サポーターにしてもらいたいことは何ですか? cf:主治医(治療~金銭)etc

2.元気に役立つ道具箱
あなたが自身のWRAPを作る最初のステップは、元気に役立つ道具箱を作ることです。
これは元気でいるために、あるいは気分がすぐれない時に元気になるために、これまでやってきたこと、または出来たかもしれないことをリストにしたものです。
これらの道具を使って自分自身のWRAPを作ります。
バインダーの最初の部分に何枚か用紙を差し込みます。
それらの用紙に元気でいるために毎日使う必要のある道具、方法、技法を書き込みます。また気になっている困難な感情を和らげ、気分を良くするために、頻繁にあるいは時々使う道具等も書き込みます。
それは以前からやっていたこと、人から聞いて自分でもやってみようと思っていること、専門職や他のサポーターから勧められたことでもいいのです。セルフヘルプ(自己自助)の本からもアイディアを得ることが出来ます。
元気でいるために、または困難な感情を和らげるために、良く使われている道具には次のようなものがあります。
*1:友達と話をすること~これは本当に良いと多くの人が気づいています
*2:医療・保健・福祉専門職の人と話をすること
*3:良い聞き役を演じること~傾聴カウンセリング参照
*4:フォーカシングエクササイズ
*5:リラクゼーションとストレス軽減エクササイズ
*6:自己暗示法
*7:思いのままを書くこと
*8:創作的な活動
*9:運動
*10:食事に配慮すること
*11:目から光を受けること
*12:特別に休みを取ること
*13:家事や仕事上の責任を誰かに代わってもらうこと
*14:温パックあるいは冷パック
*15:薬、ビタミン、ミネラル、薬草補助食品
*16:サポートグループに参加すること(医療機関に付随、ボランティアなど)
*17:カウンセラーに会うこと
*18:洗髪、髭剃り、仕事に行くなど”いつもどおり”のことをする
*19:外来で診察を受けること
*20:人の意見を求めること
*21:緊急サービスか、命の電話に電話すること
*22:前向きで、励ましをくれ、愛情に満ちた人々と一緒にいること
*23:いい気分になれるものを身に着けること
*24:古い写真、切り抜き帳、アルバムを見ること
*25:自分が達成したことのリストをつくること
*26:10分間使い自分の良い所をスぜて書き出すこと
*27:何か笑えることをすること
*28:他人のために何か特別なことをすること
*29:小さなことを成し遂げること
*30:肯定的な確認を繰り返すこと
*31:今現在起きていることに集中し感謝すること
*32:お風呂にはいること
*33:音楽を聴くこと、楽器を演奏すること、歌を歌うこと

避けたほうがいい事柄を挙げてもよいでしょう
*アルコール、砂糖とカフェインをとること
*外に飲みに行くこと
*疲労
*特定の人たちとの接触

WRAPを作る時に、これらのリストを参照します。
WRAPの各プラン作りに役立つように、すぐ見つかるバインダーの最初に挟んでおくと良いでしょう。


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6までのプランは、後で見なおして変えることがあっても全然構いませんので、気楽に取り組んでみてください。

1.日常生活管理プラン
*STEP1:普段の自分とは?~~cf:確固たる信念を持ちつつ、柔軟な対応ができる
*STEP2:毎日した方がいい、しなければならないこと
*STEP3:時々やると元気でいられること
2.引き金になる出来事に気づき、対応するための行動プラン(外的要因)
*引き金になる出来事
*引き金になる出来事→その対処プラン
3.注意サインに気づき、対応するための行動プラン(内的要因)~2→3とリンクする場合も考えられます。
*注意サインは何ですか?その対処プランは?
4.調子が悪くなってきているときのサインに気づき、対応するための行動プラン(調子が悪くなってきているとき=崖っぷち)
*調子がだんだん悪くなっていく時ってどんな時?
*その時の対処プランは?
5.クライシス(緊急状況)プラン(他者のサポートが必要なとき:崖から落ちた時~元気なときにあらかじめ周囲の人たちに伝えておく)
*症状・辛いと感じることは何ですか?
*あなたのサポーターは?
*サパーターにしてもらうと助けになることは、してもらうとかえって逆効果になることは?
*治療について~希望する治療、避けたい治療(cf:薬漬け)
*お薬についてしていること
*病院について~入院したい病院、したくない病院、入院以外の方法は?
6.緊急状況を脱したときのプラン(リカバリーに向けての計画:徐々にステップアップしていきましょう。
*クライシス終了 のサインは?
*回復していく自分の感覚はどんな感じ?
*この時期にサポートしてもらえると助かること、それをサポートしてくれる人は?
*自分の責任を取り戻すためのプロセス
#責任をもってやっていたいた事は?
#あなたの代わりに責任を果たしてくれそうな人は?
#何を、どれぐらいからやり始めますか?

各時期のプランのこれら一つ一つについて、リストアップしておきます。
サポーターにはあらかじめ知らせておいたほうが効果的です~しかし、一方的でない関係を築いておく必要があります。

集団(クラス:10~15人)でやる場合には、まずは訓練を受けたファシリテーター(進行役)が必要となります。
1.チェックイン~挨拶とテーマを決めて一言~声出しの準備
2.ルールの確認(追加、削除、現状維持)~安心して参加できるために。

3.テーマ~例えば1の中にもいくつかの項目があります。

最低限のルール(グループで行う場合)

1.ファシリテーター(進行役)は、発言を求めることは一切しません。
(チェックインを除く)

2.WRAPでは、他の人の発言に対して批判、アドバイス、議論をすることは禁止です。

3.発言したい人は挙手をしてファシリテーター(進行役)の許可が出てから発言し、要点をまとめて話すことが必要です~話の焦点がぼけたり、時間のロスに繋がります。

WRAPは治療ではありませんので、服薬とカウンセリンとは立ち位置が違います。
あくまで、自分も治療に積極的に関わっていくというスタンスを忘れないでください。

WRAP=自分の取り扱い説明書です。
それは、あなたが、あなた自身にとってのエキスパートになることです。 

また、 WRAPは一度作成しても、追加、削除して更新していくことも大切です。

 

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