@世の中はそんなに甘くないという人は、失敗を人一倍恐れている人。
競争社会で脱落した人間と、勝ち残った人たちの格差を知る親たちが、
何とかして自分たちより上の世界を目指して欲しい、
大人になった時同じ苦労をしてほしくないという
強い思いが「世の中はそんなに甘くない」と言わしめたのだと思います。
しかし、今は褒めて伸ばす時代ですし、
親が子供に嫌われたくない時代でもありますので、
多くの親たちは、子供たちが実感を持てない世の中は「そんなに甘くない」
という言葉は使わなくなりました。
しかし、営業や接客あるいは世界に打って出るような職種には、
部下に対し叱咤激励として、「お前が考えているほど世の中はそんなに甘くない!」
などと 怒鳴り声を上げる上司はまだ健在です。
私はこういう上司を否定するつもりは、さらさらありませんが、
ことあるごとに「世の中はそんなに甘くない」という言葉を使う人には、
少々問題があるのではないかと考えています。
「世の中はそんなに甘くない」と部下に言うのは部下に失敗して欲しくない、
失敗させたくないという思いからです。
つまりそれはマイナス思考。
「成功してほしい!」というポジティブな考え方ではありません。
人間が成功するためには、どうすれば成功するかを学ぶのが一番です。
どうしたら失敗しないかも大事ですが、
それはどうすれば成功するかを学んだ後でいいのです。
「失敗を先に考えると失敗するのではないか?」
という意識が先に立ち萎縮したり、失敗への道筋をイメージ化して覚えてしまいます。
スポーツをはじめ世界で日本人の若者が活躍できるようになったのは、
ポジティブシンキングができるようになった証拠。
ネガティブに育ててはいけないのです。
多くの成功経験をした人に「新しいことをする際にどうしたら失敗しないか」
という質問から入るのも良いのですが 、
成功経験の少ないビギナーほど優先すべきは、
成功への道筋のイメージ。
何事においてもここが重要なポイントです。
それからもう一つ。
「世の中はそんなに甘くない」
と言う人は後に続く人も一通りの苦労を経験しないと成功しないと思っています。
そして若いうちにショートカットして進んでしまうと、必ず後々苦労すると思っているのです。
早いうちに苦労させたいという気持ちは分かるのですが、
その気持ちを理解してもらえないと次第にイライラしてきて、あったはずの思いやりの心をなくし、
「俺の言うことがわからないのか!」という不満ばかりがたまっていくことになります。
こうなると世の中の厳しさを教えるという本筋を外れた「うるさいことを言う上司や親」
に成り下がってしまいます。
たとえいいことを言っても聞き入れられないキャラクターに自らを落としてしまい・・・・・・
上司にとっても部下にとっても残念な人間関係が生まれていくわけです。
失敗を恐れるあまり必要以上におせっかいをやき、
「自分が部下の信頼を失うという大失態を演じてしまう・・・・」
とても嘆かわしいことですが、案外身近なところに似たようなケースがあるのではないでしょうか。