本日の心理学・名言272685-9

#タナトス(死の本能)
本能といえば自己保存本能と捉えるのが普通だろう。
これはエロスと呼ばれ、エス(性的及び生的衝動)の源とされる。

そこから発生するエネルギーがリビドーということになる。
精神分析の分野では、同時に、死の本能として
タナトスというものも人は抱えていると想定している。

エロスが保存を目指すのに対し、タナトスは破壊を指向する。
人間にとっての破壊とは死を意味する。

しかし、人間が生まれてくる前というのは
死と殆んど変わらない状態であったことも事実と言える。

死の世界、無の世界から人間はこの世に生を受ける。
そして、誰もがいずれその生を終える。

死=無という世界から人はやってきて、
当たり前のようにその世界に還っていくわけだ。

生の破壊によって死はもたらされるが、
客観的に考えると死=無というのは
人間にとって非常に安定した世界ということができる。

死の本能とは、実は安定したい衝動である。
と言い換えることができると思う。

これは物質の性質でも同様だろう。
ビルの立ち並ぶ都会は不安定な世界だ。
破壊の力で瓦礫に姿を変えたときから安定への時間が刻まれる。

どんなに堅固に見えるものであっても、
不安定を予感させない美はおそらく存在しないだろう。