本日の心理学・名言272685-7

#インプリンティング(刷り込み)
記憶は、何度繰り返し覚えても
使わないでいると薄れてくる、
といったことがあるかと思いますが、
発達のごく初期の時期に、「覚えた記憶が、
その後それを変更しようとしてもなかなか変更できないほど
強固な記憶となる現象」があります。
それを、心理学用語で「インプリンティング」といいます。

このインプリンティングは、
発達心理学の分野などでもよく取り上げられていますが、
元々は、動物行動学者のローレンツが提唱した概念です。
あるとき、ローレンツがハイイロガンの卵を孵化させていたところ、
自分の目の前で孵化した雛鳥だけが、
なぜか親鳥ではなく、自分を追いかけてくることに気づきました。

ガンの仲間の雛は、
生まれつき親の後を追いかける習性を持っていますが、
雛は親の顔を知りません。
そこで雛は、生まれた直後に目の前にある、
自分より大きな動くものを親として記憶し、その後を追うのです。
通常記憶は、時間をかけて学習されるものですが、
雛鳥が瞬時に親を記憶する現象をみて、
ローレンツは、
「まるで雛の頭の中に瞬時に印刷されたかのようだ」
という意味で名づけました。
生まれたばかりのか弱い雛鳥にとって、
自分を敵から守り育ててくれる親から離れずにいることは、
生死に関わる大問題です。
その為このような特殊な技能があるのかもしれません。
ローレンツはこの現象が、
まるで頭の中に一瞬の出来事が印刷されたかのようだとして、
刷り込み(
imprinting)と名付けた。