本日の心理学・名言20734-1

#群集心理
人は個人ではやらないようなことも、
集団になるとやってしまうということがあります。

いわゆる“群集心理”とは、
主に
社会心理学
の観点から研究されています。

そもそも、群集とは「不特定多数の人間が、共通の動因のもとに
一時的にある場所に集まってできる未組織な集合体のこと」と定義されており、
“群衆”と表記されることもあります。

 そして、共通動因の発生の仕方の違いによって、以下の3つに分類されます。

(1)突発的群集:
事故や災害など予測不能な緊急事態の発生によってできる

(2)偶発的群集:
人々が共通に惹かれるような潜在的動因が存在する場所に
大勢の人が一斉に押し寄せてできる

(3)定期的群集:
共通の動因をもつ人々が定期的に一定の場所に集まってできる

また、群集が動態的であるか受動的であるかによって、
動態的な場合は暴衆(モッブ)と、
受動的な場合を聴衆に分類することができます。
それぞれの特徴として、

1.攻撃的暴衆(暴徒):リンチやテロ、暴動等を行うもの

2.逃走的暴衆:パニックなど

3.利得的暴衆:バーゲン・セールに殺到するなど

4.表出的暴衆:リオのカーニバルの舞踏群集やデモ隊など

*暴衆:激動的な共通動因によって駆り立てられている活動的群集のこと。

暴衆は基本的に未組織な低次の集合行動であるとされていますが、
心理学者の
スメルサーによって、
実は高次の社会運動との連続性(デモ隊の活動からスタートし、
最終的に独裁政権状態を覆すなど)が指摘されています。

また、聴衆については偶発的聴衆(たまたま、そこに複数の人間がいただけ)と
意図的聴衆(目的があって複数の人々が集まった)の
2形態に分類するケースもあります。

さらに群集の状態が組織化されているのか、未組織の除隊なのかという観点から、
同一の目標をもつ者が同一の場所に殺到し競争しあってできる
無統制群集と、
既存の権威や統制に反発してできる
反統制群集
あてもなくさまよう人々によってできる
非統制群集3つの形態分類もあります。

群集に様々な種類が前述のようにあるわけですが、
心理学者の
ル・ボンは、群集に巻き込まれた人は、
自己の意思による判断ができなくなると同時に、
群集には個々人の時とは異なる心性が働くと考え、
群集心理の特徴を
非合理性・精神的同質性・感情性・匿名性・無責任性・被暗示性等にあると指摘しています。

つまり、群集とは一様に「良くない状態の集団」というニュアンスが強いわけです。
これらの個人を超えた集団(群衆)や社会という、
より大きな単位で人間の心理を研究しようとする潮流が
現在の社会心理学の礎となっているのです。