@ここだけの話という人は協調を求めている人
「会社を辞めたい気持ちは分かる。
でも今やめたら損だぞ。 来春、早期退職制度が始まる。
その後で辞めたら今より退職金が3割は多くなる。
そこまでは我慢しろよ。
これは組合幹部から聞いた話なんだ。これだけの話だからな誰にも言うなよ」
同期入社の仲間が、ごっそり 耳打ちしてくれる・・・・・
こういうケースの「ここだけの話」は、
本来の「ここだけの話」=大事な内緒話ですが、
これから紹介する「ここだけの話」は、
どうでもいい噂話のことです。
親友どころか、友人とも言いがたい関係でありながら、
時折「ここだけの話」をしてくる人、
仕事先やお近所に居ませんか?
見るからに話がしたくてウズウズして、
話をする前から、にやけている人が会社に一人ぐらいはいるのではないでしょうか 。
「ねえ、ここだけの話なんだけど、
営業の佐々木さん、昨日と同じ服で出社してきたらしいよ。
どこに泊まったんだか。社内不倫だったりしてね」
「ここだけの話だけどさあ。○○課長、厚木工場に飛ばされるらしいぜ。
ざまあねえよな。いくら偉そうなこと言ってても、結果出せないんだから」
他人のプライバシーを 暴露したり、陰口を叩いたりするのは、
人間の卑しい部分ではありますが、
人間はとかくそういう「いけない」ものに魅かれます。
そして、この「いけない」ことを誰かに話すことで、
共感を得たくなるものなのです。
人は「秘密を共有すること」で親しくなります。共感し合うことで距離が縮まります。
つまり、「ここだけの話」をする人の潜在意識の中には、共感して欲しい、
あるいは自分を近い存在だとに感じてほしいという感情が多分にある可能性アリなのです。
それは、よく知らない相手であっても、
「これから良い関係を築けたらいいなあ」と思っているのかもしれませんし、
逆に「好きじゃないけど 懐柔したいな」と、
親しくなることのメリットを計算しているのかもしれません。
どちらにせよ、自分と協調して欲しいという欲求があると言えるでしょう。
たくさんの人に「ここだけの話」をしてしまう人もいますね。
彼らは 共感者を欲している寂しい人なのですが、
「あの人、誰にでも”ここだけの話”してるよね」と言われ、
「ただのおしゃべり」という烙印を押され、ますます 寂しい人になってしまうのです。
*魅(ひ)かれる:魅力的で自然と興味や関心を持ってしまうこと
*懐柔(かいじゅう):うまく扱って、自分の思う通りに従わせること