本日の心理学・名言18808-1

#タナトス(死の本能)
本能といえば自己保存本能と捉えるのが普通だろう。
これはエロスと呼ばれ、エス(性的及び生的衝動)の源とされる。
そこから発生するエネルギーがリビドーということになる。
精神分析の分野では、
同時に、死の本能としてタナトスというものも
人は抱えていると想定している。
エロスが保存を目指すのに対し、タナトスは破壊を指向する。
人間にとっての破壊とは死を意味する。
しかし、人間が生まれてくる前というのは、
死と殆んど変わらない状態であったことも事実と言える。
死の世界、無の世界から人間はこの世に生を受ける。
そして、誰もがいずれその生を終える。
死=無という世界から人はやってきて、
当たり前のようにその世界に還っていくわけだ。
生の破壊によって死はもたらされるが、
客観的に考えると死=無というのは、
人間にとって非常に安定した世界ということができる。
死の本能とは、実は安定したい衝動である。
と言い換えることができると思う。
これは物質の性質でも同様だろう。
ビルの立ち並ぶ都会は不安定な世界だ。
破壊の力で瓦礫(がれき)に姿を変えたときから,
安定への時間が刻まれる。

どんなに堅固に見えるものであっても、
不安定を予感させない美はおそらく存在しないだろう。