うつ病について2/2

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*うつ病の人との接し方1/3

うつ病の患者さんとの接し方に悩む家族、友人、恋人、職場のみなさんのために!
@うつ病の人との接し方の基本ポイント1
うつ病について1/2」で紹介した症状は、その人の性格や精神の弱さの現れではなくて、うつ病という病気の症状です。その人を責めるのは間違っています。またその人が変わってしまったと思うのも誤解です。
病気が治れば、症状も消えます。
うつ病の人との接し方を本やインターネットで学んだだけでは、なかなかうまくいきません。
それは、あなたが混乱して悲しみや怒りに包まれているからです。患者さんの困った言動は、その人のせいではなく症状だと理解したうえで、冷静な対応ができるようにしましょう。
@うつ病の人との接し方基本ポイント2
今はうつ病にかかっているけれども、もともとは立派な人で、病気が治れば元の立派な人に戻れるのだと信じましょう。
@うつ病の人との接し方基本ポイント3心の病を持つ人との一般的な接し方の注意点
聞き上手になる~よく話を聞く→理解と共感を示す。(→カウンセリングマインド:話を聴くということ~~傾聴カウンセリング
@ 会話の内容より、感情をくみ取る
@人間的な温かさを持つと同時に、相手の問題に巻き込まれて、動揺したりしない。
@ 「私はあなたの味方です。常にあなたに関心があります。」ということを伝える
@病んでいる部分を指摘するのではなくて、健康な部分を評価する
@良くなるためには時間がかかることを忍耐を持って覚悟する。
自分自身の患者に対する感情(怒り、不安、焦りなど)をコントロールする。

*うつ病の人との接し方2/3

言葉がけ、禁句(家庭で職場で)
· 休養をとるように勧める。
そうはいっても、うつ病になるようなまじめな努力家の方にとっては、休むことはとても難しいことです。こんな風に言うのが効果的でしょう。
「そうですよね。早く良くなって、仕事や学校へ戻りたいですよね。だから、一日も早く良くなるために、今はしっかり休んで治療しましょう。」
· 叱咤激励はしない。
普通の病気であれば、たとえば職場の上司が病気になった時、
「早く元気になって会社に来て下さい。課長がいないとみんな困っています。」といった言葉は、良い励ましの言葉になるでしょう。
しかし、うつ病の患者さんには、こんな接し方は逆効果です。ますます自分を追いつめることになるからです。むしろ、たとえば「お父さんが入院していても、家族みんなで家を守っているから、お父さんは心配しないで、ゆっくり病気をなおしてね。」といった言葉や態度、接し方が有効です。

励ましてはいけないとしたら、どんな接し方が良いのか
· 不用意に励ますことは厳禁でも、希望を与え、不安や絶望をやわらげる接し方はとても大切です。たとえば、「きっと回復します。」「人間、良いときと悪いときがあって当然です。」「うつは波だから、必ず引いていくものですよ。」
などの言葉です。うつ病は決して不治の病ではありません。憂うつな気分は必ず解消されていきます。
そして退職、離婚などの重大な決定は、延期させるようにします。
うつ状態の時に、退職や離婚の手続きをしてしまい、後で後悔する方々がいます。 これも、うつ病の人との接し方で大切なことです。

*うつ病治療の接し方3/3

うつ病患者を抱える家族のみなさんへ
接し方の基本
うつ病をはじめ、心の病の治療のためには、家族をはじめ身近な人達の協力と適切な接し方が非常に大切です。病を理解したうえで、話を良く聞く、共感的に接する、叱咤激励しないようにするといった接し方をしましょう。
こんな接し方は要注意
悩みを大したことがないと否定したり、不用意な説得、反論、解釈、お説教等をしないようにしましょう。うつの苦しみは、健康な人が外見から想像する以上に大きいのです。

*医師、薬の使用と関連したうつ病患者との接し方

精神科の医師の治療方法や治療方針を理解しましょう。医師や薬への不信は、患者に伝わります。心の病に関する薬には、偏見も多いようです。「薬に頼ってはいけない。」などの不適切なアドバイス、接し方で薬をやめさせることはとても危険です。
医師の言いなりになれとは言いませんが、抗うつ薬など薬の量や副作用について疑問があるときには、医師に自分(患者さん、周りの人など)の考えを述べ、よく相談しましょう。場合によっては、
セカンドオピニオン(二次的診断)も必要だと思います。
しかし原則的には、 うつの薬は安全です。また普通はとても良く効きます。ただし、飲みはじめはまず副作用が先に出て、数週間後に薬本来のの効果が出ます。また症状が長く続いているときには薬の効果が現れにくいことも理解しておきましょう。また、憂うつな気分が治った後も、しばらくは薬をのむ必要があります。自分の治療経過を主張した上で医師の指示を良く聞きましょう
(ただし、うつ病だと思い抗うつ薬を飲んでいたのに、実は躁うつ病であり、本当は気分安定薬が必要だったということはあります。もしも、うつ状態だけではなく、躁状態もあるとしたら、きちんとそれを医師に伝えましょう。話さないと医師もわからないことがあります。正しい診断を受け、適切な薬を飲みましょう。)

<このような基本的なことを理解したうえで>
*うつ病の患者さんを休ませるための接し方
うつ病治療のためには、休息させる。心身の負担を全て取り去ることが基本です。
不用意に運動させたり、本人の意思を無視して無理な旅行や娯楽などに連れだしたりしない方が良いでしょう。良かれと思ってこのような接し方をするのですが、逆効果です。
光を浴びることや、散歩によって、症状が改善することもありますが、決して無理をしてはいけません。周囲の人間はもちろん善意で行っているのでしょうが、疲労は避けた方が賢明です運動は、諸刃の剣です十分良くなった段階での、軽い運動や家事は有用です。重症の場合は、身体の病気と同様に見舞客を断る必要もあります。

*うつ病の治り方に関連する接し方
症状には、一進一退があります。冬から春の三寒四温と同様です。坂道をまっすぐ上るようには、良くなりません。骨折が治るようには、直線的には治らないのです。心の病は、らせん階段を登るように、あちらこちらに行きながら、ゆっくり良くなっていきます。良くなりそうに見えても、長期間かかることを理解し、決して焦らないようにしましょう
一喜一憂してはいけません。その時々の感情に振り回された接し方は控えましょう。
*うつ病患者とのより良い接し方のための家族のあり方
家族が不和になると、患者に悪い影響を与えます。
看病で疲れ切ってしまうこともあるでしょう。あのしっかり者だったお父さんやお母さんの今の姿を見るのは、とてもつらいでしょう。でも、こんなときこそ、家族みんなで、支えあい、仲良くなることが大切です。それが、うつの人へのより良い接し方につながります。
そうはいっても、あの働き者だった人が、まるで別人になったように寝ている姿を見ると、家族にとってはとても辛いものがあります。ご家族であるあなた自身の心の健康、やる気がどうぞ支えられますように願ってやみません。
なぜ、こんな病気になってしまったんだろうと、患者さんやご自分を責めず、病気があっても幸せになれるという信念を持つことが大切です(原因探しをやめて、癒され幸せになる信念を持つ)
夫のウツは私のせいだとご自分を責めている奥様もいますが、どうぞご自分を責めないでください。
*うつ病患者の家族への接し方周囲の人々に必要な配慮
家族の心労、苦しみは、とても大きいものがあります。疲れ果て、いらついてしまうのも無理はありません。家族を責めたりせず、共感的理解を示せれば、どんなによいでしょう。
また、家族が息抜きもできないと、家族の方がまいってしまうこともあります。家族自身のためにも、患者のためにも、友人や親戚のみなさんが、ご家族を支えることが、とても大切です。
病人を支える方々にとって、とても大切なことは、自分自身を守るということです。どうぞご自分の体と心の健康に十分注意してください。あなた自身が、心や体を休めることができるような工夫を、ぜひ考えましょう。そうすれば、きっと患者さんへの接し方も変わってくるはずです。
*うつ病で入院が必要な場合
家庭で看護ができない・重い身体的合併症・拒食、拒薬・自殺の恐れが強い場合などは、入院が必要です。

*「現代型~新型うつ病」の原因・症状・治療法

新型うつ病」なるものが若い世代(ほとんどが20~30代前半)に増えているそうです。患者が多すぎクリニックの予約を3ヶ月も待たされる場合もあるそうです。
「新型うつ病」というのは、主な原因は何なのか、どんな症状がでるのか、治療法はあるのか、など調べてみましたので、簡単にまとめておきます。
(私は専門家ではないので、参考程度に読んでみて下さい。)
※新型うつ病は、従来のうつ病の「新化型」で症状・原因・治療法も従来とは違います。
以下、”新型”と略します。

*新型うつ病の特徴・症状
新型の特徴は、日常生活や仕事、友達関係などがうまくいかなくて”自分を責める”という従来型と違って、”周りの環境や他人のせいにする”傾向が強いようです。特に、仕事場で多く、物事がうまくいかないことを”会社や上司”のせいにし、「会社が悪い」「上司が悪い」などの言葉が口癖のようになるみたいで、
わかりやすく言ってしまえば、”仕事中にだけうつになり、会社の外では元気”というのが新型と呼ばれています。

*新型うつ病の原因
うつ病の原因には、内的要因(本人の気持ち・心構え)と外的要因(周りの環境・人間関係など)があり、両方がからみあい、うつ病が発症してしまうのです。
内的要因が強い場合は、病院に行ったり、友達に相談したりするだけで直る場合もあるみたいですが、ずっと一人だけで悩んだりする人も多く、重症化しやすいようです。
ネット上に、匿名で書き込める掲示板などもあるので、とにかく他の人に自分の悩みを聞いてもらうことは大切だと思います。掲示板は結構、真剣にアドバイスしてくれる人が多いのです。対人関係が苦手な人ほど、一人で悩みがちなので、そういう人には、ネット掲示板はおすすめです。とにかく一人で悩まない!っていうのが重要かなと、個人的に思います。
外的要因が強い場合は、周りの環境を変えるだけでも、うつ状態を抑えられる場合が多いみたいです。転職とか引越しとかです。
ただ、上記は従来型の場合で、新型は、少々、複雑みたいです・・・
”仕事中にだけうつになり、会社の外では元気”をみると、外的要因である、会社に問題があるように感じますが、本当の原因は本人の心構えにあることが多く、会社の環境を変えてもあまりよくならない場合が多いそうです。この傾向により、新型の原因究明が一層複雑になっている模様です。
*新型うつ病の治療法
うつ病は、周りの環境を変えるだけで直ったりする場合もあるみたいですが、新しい環境に慣れてくると、また症状が発生したりと、従来型でも新型でも、根治的な治療をするには長時間にわたるカウンセリングが必要なようです。結局、うつ病は、”心の病”なので、根本的なところから改善しないとだめなんでしょうね。
先ほども言いましたが、私的には、嫌なことがあったり、悩み事がある場合は、家族や友達、ネットの掲示板などで相談して、少しでも”心に対する負荷を減らす”ことが重要かなと思います。
はたからみると、何事も順調にいってるような人でも、悩みって必ず持ってますから(軽い悩みから重い悩みまで様々)、「なんで自分だけ・・・」っては思わないほうがいいかと。生活してると、必ず自分の思い通りにならないこと、嫌なこと、納得いかないことってありますから。
過去の終わったことは、深く考えすぎず、前向きにプラス思考で、「何とかなるでしょ!」って毎日過ごせるようになれば、うつ病になんてならないような気がします。なるようになりますし、なるようにしかなりませんから。(自分の経験からの超個人的な見解です)
現在のところは、” 経頭蓋磁気刺激(rTMS) ”→(うつ病について1/2参照)が治療法として使われているところもあるようです。

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*非定型うつ病の特徴

非定型うつ病は以下のような症状が特徴的です。
感情が反応的(うれしいことがあると気分がよくなる)
過食・体重増加
過眠(10時間以上または通常より2時間以上の睡眠)
疲労感(しばしば身体が鉛のように重いと形容される)
他人の批判に過敏で、気分の落ち込みの引き金となりやすい
典型的なうつ病と比べると、
感情の反応性、食欲、睡眠が正反対です。
この非定型うつ病は若い女性に多く、パニック障害など他の心の病気を合併することが少なくありません。日常生活における支障としては、以下のようなものがあります。
@他人の批判を過剰に受け止めてしまい、親密な人間関係を築くのが困難である
@他人の批判を恐れるあまりに、人間関係に気を使いすぎてしまう
@朝、起きれなくて、約束の時間に遅刻してしまう
@映画などの娯楽を楽しめることは楽しめるのだが、外出するエネルギーがない
非定型うつ病の治療は通常のうつ病と同様に
抗うつ薬による薬物治療が中心です

非定型うつ病は症状が典型的ではないとはいうものの、全体のうつ病の中では決して少数派ではなく、全体の3割程度を占めるとも言われています。実は、非定型うつ病も、典型的なうつ病の一つと言えるのかもしれません。
憂うつなときばかりではなく、何か楽しいことがあれば、
一時的に元気になる、食が細くなるのではなく過食に走る、
眠れないのでなく眠っても眠っても眠い状態が続く、
身体が鉛のように重く感じる、
ちょつとしたことで「プライドを傷つけられた」と過剰に反応する、
夕方に悪化する。

これが先に申し上げましたように
「非定型うつ病」の典型的な症状です。
この非定型うつ病にかかるのは、ほとんどが10代、20代の女性です。従来のうつ病と違い、非常に治りにくいのが特徴で、なかには40代、50代まで持ちこしてしまう人もいます
非定型うつ病になりやすい人は、
周りに対してとてもよく心遣いができて、
他人の言葉に非常に敏感なタイプ。
発症が、いわゆる「多感な時期」に集中しているのも
偶然ではありません。
人格が形成されて完成する一歩手前にあたるこの時期は、
前頭葉の発達が一段落する時期。
非定型うつ病は、この多感な時期をうまく通りこなすことができなくて、発症するのではないかと推定されています。
非定型うつ病患者の治療では、
他人に自分を主張できる自我を確立していくことが非常に大切です。
しかし残念ながら、そのような認知行動療法
(アサーション・トレーニング)を、日本の医療の場で充分に行う仕組みはできていません。
もっとも効果のある薬であるMAOI(注)も使えません。
ですが、限られた条件のなかであっても、
患者さんに必要な治療をするため、
医師は患者さんと常に一対一で向き合い、
試行錯誤の中で適切な薬の種類と量を選び、
丁寧にカウンセリングをしながら治療を進めています。
その結果、見違えるほど元気になった方も実際に大勢います。

*MAOI:モノアミン酸化酵素阻害薬(さんかこうそそがいやく)は、
抗パーキンソン薬の分類の1つで、モノアミン酸化酵素(MAO)の働きを阻害することによって、脳内のドーパミンなどの物質を増やす作用をする薬剤の総称。MAO阻害剤(MAOI)と呼ばれる。
昔はうつ病の治療薬として使われていたが、
その激しい副作用と扱いの難しさから、
現在ではパーキンソン病の治療にのみ使われているが、
アメリカ合衆国などでは、
現在もうつ病の治療薬として認可されており使用されることもある。

*非定型うつ病の主な症状(DSM-Ⅳの診断基準)
上記の「非定型うつ病の主な症状と行動の条件」を満たした上で、次のA、Bの条件を満たす場合、非定型うつ病であることが疑われます。
A:気分反応性がある(現実の、または可能性のある楽しいできごとに反応して気分が明るくなる)
B:次の特徴のうち2つ以上に当てはまる
①著しい体重増加または食欲の増加がある
②過眠である
③身体が鉛のように重くなる
④ちよっとしたことで名誉を傷つけられたと感じて、
長期間、人とかかわることを拒む。

非定型うつ病は、ようやく1994年にDSMが診断基準を示したばかりですが、それに伴い、患者数も増えてくることと思います。
それを受けて、医師、臨床心理士をはじめとした医療関係者の協力で、日本でも非定型うつ病の治療法が、
確立されていくことを期待しています。

発症の時期が早いので、長じてから予防する方法はあまりありませんが、もしあなたが「非定型うつ病になりやすいタイプ」だとしたら、
「他人を傷つけずに自分のしたいことを主張する」ということを
意識的に行うことが大切です。

季節性感情障害 (SAD)
季節性感情障害(SAD)とは?
SADはうつ病の一種で、秋または冬に抑うつが始まり、
春や夏になると治まるという特有のサイクルを繰り返します。
このため「反復性冬季うつ病」と呼ばれることもあります。
SADにみられる症状の多くは、
季節性ではない普通のうつ病と同じです。
%気分が落ち込む(午前中のほうが症状が強い)
%気力がなくなる
%元気が出なくなる
%生きる張り合いがなくなる
%物事を楽しめない
%イライラする
%人と会いたくない
%性欲が減退する
しかし、SADには、普通のうつ病とは少し異なる症状もあります。
非季節性のうつ病においては、
眠れなくなり食欲もなくなるのが一般的ですが、
SADの場合は、睡眠時間が長くなり食欲も増すことが多いです。
SADになると、冬の間、朝起きるのがとてもつらくなり、
日中にも眠気を感じることが多くなります。
またチョコレートや白パン、甘いお菓子といった高炭水化物の食品が食べたくてたまらなくなることがあります。
*甘いものを食べると、脳内に一時的に「セロトニン」が広がります。
SADを持つ人は運動量も低下しがちなため、冬に太りやすくなります。SAD型のうつ病は春になると回復します。
そしてSADを持つ人の約3分の1が、
春から夏にかけて気分がやや高揚した状態(軽躁状態)になります。

SAD に罹りやすい人は?
他の型のうつ病と同様、SADは妊娠可能な年齢の女性に
最も多く見られます。
女性のほうが男性より約3倍罹りやすいといわれています。
子どもや年配者がSADになることもありますが、きわめて稀です。

赤道近くに住む人が罹ることは少なく、
日照時間が少ない高緯度に住む人ほど
SADを患うリスクは高まります。
必須アミノ酸「トリプトファン」は、
主に食品のタンパク質に含まれていて、
体内に入って脳に運ばれたあと、セロトニンに変化します。
とくに太陽の光を浴びることにより、セロトニンの分泌は促進されます。そこで、日照時間が少ないとセロトニン不足になり、脳内伝達物質のバランスが崩れ、体調不良になるのです。

#SAD に罹る割合はどのくらいですか?
冬になると、多くの人に軽い疲労感や睡眠時間の増加、
体重の増加といった体調の変化が見られます。
動物の冬眠に少し似ています。
しかしこうした症状が日常生活に支障をきたすようならば、
それはSADであると考えられます。
英国では100人に3人が深刻な冬季うつ病に悩まされています。
#SAD の原因
単に冬場の日照時間不足が原因であると考えられています。
現代の生活では屋内で過ごすことが多く、
日光に当たる時間が少なくなっています。
光が不足すると脳内でセロトニンの分泌が減り、
そのためにうつ病になりやすくなると考えられています。

#SAD による悪循環
SADの症状の中には、さらなる問題を生んで「悪循環」を引き起こし、症状を悪化させるものがあります。
いつも疲れていて、何もしたくなくなります。
運動不足がさらにうつを悪化させることがあります。
食べる量が増え、太ってしまいます。
眠気、やる気のなさ、イライラといった症状は、
家庭や交友関係、仕事の上でのトラブルの元になりかねません。
また、やるべきことがあってもそれに取り掛かかることができず、
さらなるストレスを感じることがあります。
こうした「悪循環」がひどくなる前に、
次に示すような自分でできる治療法を試してみましょう。

#SAD への対策
>自分でできること
軽度のSADならば、大抵の場合、
下記に挙げるセルフ・ヘルプ(自助)の方法でよくなりますが、
重症のSADに対しても同様な方法を行うのがよいとされています。

日照時間の短い時期にはできるだけ屋外に出て、
日光に当たりましょう。
普段から行なっている運動を続けましょう。
よく日に当たれるよう、屋外で行なうのが最善です。
家族や友人に相談して、理解と協力を得るようにしましょう。
「クリスマスが過ぎれば日も長くなるし、
春はもうすぐ」と自分に言い聞かせましょう。

>光療法
ライトボックス(人工光)を使用して、
冬季の日照不足をを補う方法です。
照射される光は太陽光に似ていますが、
紫外線は出ないので肌や目に害がありません。
秋に症状が出始めたら、
毎日30分から1時間、ライトボックスを使用しましょう。
朝食時の使用が最も効果的です。
光療法の効果は現れるのがとても早く、
この療法が有効である場合は、
ほとんどの人が最初の1週間で症状の改善を実感します。
光療法の副作用はあったとしても軽度です。
人によっては頭痛や吐き気、目のかすみなどの症状が出ますが、
ライトボックスからの距離を長めにすれば、
これらの症状は軽くなります。
ただし離れ過ぎてはいけません。
目とライトボックスとの距離がありすぎると、
治療に必要な明るさが足りなくなり、
同様の効果を得るためには、
ライトボックスの使用時間を長くする必要があるからです。

また、夕方5時以降はライトボックスの使用を控えた方がいいでしょう。
寝つきが悪くなることがあります。
光目覚まし時計も治療に使われます。
起床時刻の約1時間前にライトがほんのり点灯し、
それが徐々に明るくなっていき、
人工的に夜明けのような状態を作ります。
起きるのがつらい冬の朝に特に効果があります。
以下のような光治療器もあります。
デスクワークをする人のための卓上ライトスタンド
ライトバイザー:野球帽のような形をしていて、
つばの裏についた小さなライトで目に光を照射します。

薬物治療
SADの治療には一般的に抗うつ薬が有効です。
疲労感や眠気が増す薬は避けるべきなので、
こうした副作用の少ないSSRIという種類の
抗うつ薬が主に使われています。
SADの場合、秋に抗うつ薬を飲み始め、
春になったらやめるのが一般的です。
*SSRI:選択的セロトニン再取り込み阻害薬

>認知行動療法(CBT)
冬季うつ病の治療と再発防止には、
CBTが効果的であるとする研究結果もあります。

>一番良い治療法はどれですか
症状が軽いならば、
ここで説明したセルフ・ヘルプの方法を試してみてください。
たいていの場合、十分に効果があります。
症状が重い場合、
ライトボックスか抗うつ薬、いずれかの治療がまずは行われます。
どちらの治療法を選ぶかは、
その方法が可能であるかどうかや、続けやすさ、
本人の好みによる場合が多いです。

光療法と抗うつ薬を比較した研究はまだ少ししかありませんが、
どちらの治療法でも同じくらいの効果が得られるようです。
光療法、抗うつ薬のどちらかで十分な効果が得られない場合には、
併用することも可能です。

 

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