本日の心理学・名言1257-3

ラジオで聴いた若いOLの話である。
彼女の生家は代々の農家で、もの心つく前に母親を亡くしました。
ですが寂しくはありませんでした。
それは、父親に可愛がられて育てられたからです。
父親は働き者でした~3ヘクタールの水田と2ヘクタールの畑を耕して立ち働いていました。村のためにも尽くしていました。行事や共同作業には骨身を惜しまず、ことがあると、まとめ役に走り回っていました。
そんな父を彼女は尊敬していました~父娘二人の暮らしは温かさに満ちていました。
彼女が高校3年の12月でした~その朝、彼女はいつものように登校し、それを見送った父はトラクターを運転して野良に出て行きました。
そこで悲劇は起こってしまいました~居眠り運転のトレーラーと衝突したのです。
彼女は父が収容された病院に駆けつけました~苦しい息の下から父は切れ切れに言ったのです。
「これからはお前一人になる。すまんなぁ……」
そして、こう続けたのです。
「いいか、これからは“おかげさま、おかげさま”と心で唱えて生きていけ。そうすると必ずみんなが助けてくれる。“おかげさま”をお守りにして生きていけ」
それが父の最期の言葉でした。
父からもらった“おかげさま”のお守りは、彼女を裏切りませんでした。
親切にしてくれる村人に彼女はいつも「おかげさま」と心のなかで手を合わせた。
彼女のそんな姿に村人はどこまでも優しかったのです~その優しさが彼女を助け、支えたのです。
父の最期の言葉がA子さんの心に光を灯し、その光が村人の心の光となり、さらに照り返して彼女の生きる力になったのです。
by『小さな人生論』(藤尾秀昭・著)
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