本日の心理学・名言18800-7

#インプリンティング(刷り込み)
記憶は、何度繰り返し覚えても使わないでいると薄れてくる、
といったことがあるかと思いますが、
発達のごく初期の時期に、
「覚えた記憶が、その後それを変更しようとしてもなかなか変更できないほど
強固な記憶となる現象」があります。
それを、心理学用語で「インプリンティング」といいます。
このインプリンティングは、
発達心理学の分野などでもよく取り上げられていますが、
元々は、動物行動学者のローレンツが提唱した概念です。
あるとき、ローレンツがハイイロガンの卵を孵化させていたところ、
自分の目の前で孵化した雛鳥だけが、なぜか親鳥ではなく、
自分を追いかけてくることに気づきました。
ガンの仲間の雛は、生まれつき親の後を追いかける習性を持っていますが、
雛は親の顔を知りません。
そこで雛は、生まれた直後に目の前にある、自分より大きな動くものを親として記憶し、
その後を追うのです。
通常記憶は、時間をかけて学習されるものですが、
雛鳥が瞬時に親を記憶する現象をみて、
ローレンツは、「まるで雛の頭の中に瞬時に印刷されたかのようだ」
という仮設を立てました。
生まれたばかりのか弱い雛鳥にとって、
自分を敵から守り育ててくれる親から離れずにいることは、
生死に関わる大問題です。
その為このような特殊な技能があるのかもしれません。
ローレンツはこの現象が、
まるで頭の中に一瞬の出来事が印刷されたかのようだとして、
刷り込み(imprinting)と名付けました。