@楽天心を持つ:物事の一面だけを見つめてはならない
以前、建築設計事務所を主宰する T さんという35歳の男性から、
こんな相談を受けたことがありました。
「脱サラを果たして 3年経つのですが、最近、親友のひと言で、
どうも自分に自信が持てなくなってしまったんです」
「とおっしゃいますと?」
「つまり、私は神経質で臆病なところがあるって言うんです。
そういう人間はリスクばかり恐れ冒険ができない。
だから経営者として不向きだって言うんです。
なるほど、言われてみれば確かにそんな気がしてきて…」
この時、私はためらうことなく次のアドバイスをしたのです。
「あなたはご自分の性格について大きな誤解をなさっているようですね。
神経質な臆病なところがあるから、経営者としては不向きだと言いますが、
必ずしもそうとは言えないのではないでしょうか 。
神経質で臆病なところがあっても成功している人は何人もいます。
神経質なところがあるというのは、
見方を変えればそれだけ繊細で几帳面なところがある のではないでしょうか 。
だからこそ小さな細かいところにも目が届くわけで、
あなたのような職種に欠かせない必須の能力だと私は思うんです。
臆病という言葉だって同じです。
臆病イコール気が小さいと考えるから卑屈な気分になるのです。
それをこれまた見方を変えれば、
それだけ用心深く安全を保って生きられると解釈できます。
世の中には気が大きいばかりで用心深さのない経営者だってたくさんいます。
そういう人たちに限って取り返しのつかない大失敗を犯したり、会社を倒産させています。
それに比べたらあなたの方が経営者としての才がはるかにあると私は思うのですが…」
私がこう言うと T さんは、ようやく笑いを浮かべながら、
うなずくいてくれましたが、これは何も T さんに限ったことではありません。
全ての事柄において全く同じことが言えます。
事は全て表裏一体で二面性があります。
すなわち一見するとマイナス(欠点)と思えるようなことが、
実はプラス(長所)である場合が往々にしてあるのです。
私たちの性格もそれと同じこと。
他人から性格上の欠点を指摘されたからといって、
落ち込んだり悲観的になることはありません。
頑固と言われたら「意思が強い」、ケチと言われたら、「経済観念が発達している」、
単細胞と言われたら、「素直で純情」、飽きっぽいと言われたら、「柔軟性がある」、
優柔不断と言われたら、「協調性がある」、変人と罵られたら「独創力がある」
という風にプラスに解釈してみましょう。
発想をプラスに変えていくことにより、 感情をもプラスに切り替えていくようにするのです。
なお物事を両面から眺めるというのは不安を解消する上でも効力を発揮します。