@A:
真の苦労は人目につかない苦労である。
人目につく苦労は、虚栄心さえあれば楽にできる。
byラ・ロシュフーコー
優れた人ほど、苦労している姿を人前に見せることは少ないものです。
例えば、プロ野球で輝かしい成績を残したスター選手がいました。
彼は現役時代、苦しいトレーニングをしていることを、
一般の人たちに見せようとは決してしませんでした。
もちろん、スターですから、いつもテレビカメラに追いかけられていたのです。
しかし、それでも、苦しいトレーニングをしている姿は撮影されませんでした。
「苦労している姿を見せないのがプロである。華麗にプレーして、お客さんを喜ばせるのが、プロの使命である」
という哲学が、彼にはあったのです。
これは、このスター選手が優れている証の一つだと思います。
優れた人は、苦しいことがあっても、苦しんでいる姿を見せることなく、
孤独の中で頑張っているものなのです。
逆に言えば、自分が苦しんでいる姿を進んで人目にさらそうとする人は、
虚栄心からそうしているに過ぎないと言えるのかもしれません。
「私はこんなに多くの苦労をしているのだ」ということを見せることで、
尊敬されたいと思っている人もいるのではないでしょうか。
それはいわば虚栄心から出る「見せかけの苦労」にすぎないのです。
しかし、このような「見せかけの苦労」は、
結局は尊敬されることも、大きく実ることもないと思います。
*虚栄心:自分を実質以上に見せようと、みえを張りたがる心。
@ B:
我々の苦悩の中で 最も歓迎できないのは、自分の存在を軽蔑することだ。
byモンテーニュ
人間は誰でも、何かしらの悩みをもって生きています。
仕事、家族、人間関係、お金、健康、将来のことなど、数えればきりがないでしょう。
そのような悩みに日々、直面しながら暮らしているのが、人生だと思います。
しかし、その悩みが、自己嫌悪、自己否定の方向に走ってしまう人もいます。
「こんなことで思い悩んでいるなんて、私はなんて小さな人間なんだろう」
「心が弱いから、うじうじ思い悩んでばかりいるんだ」といった具合です。
しかし、そのように「自分の存在を軽蔑する」のは、決して賢明なことではないと思います。
自信を失って、頑張っていこうという意欲を失うことになるからです。
悩む自分をみずから軽蔑することなどないのです。
自己嫌悪やは自己否定の方向へ向かわないコツの一つに、
「その悩みを乗り越えた時の喜びを想像してみる」ことがあります。
もう一つのコツに、「思い悩むのは誠実に生きている証だ」と考えることも挙げられるでしょう 。
この二つのコツを使えば、いつ でも自信と誇りを持って生きていけると思います。